今回は『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(DRAGON QUEST YOUR STORY)』です。
かねてよりラストシーンの悪評は耳にしておりましたが、こんなにひどいとは想像以上でした。
問題のシーンを差し引けば綺麗なCGで動くモンスターの姿を見れただけで楽しめるところもありました。
ですが!!
ドラクエファンなら説明しなくていいでしょ!という思惑が見えるストーリー端折りっぷり。
そのくせにドラクエファンを激怒させるラスト。
つまらないとか以前の問題です。もはや映画として成立していないのですよ!
もちろんあのラストを肯定する人もいるでしょう。しかしドラクエを一度でもプレイした人をドラクエそのものを冒涜するラストシーン。
ドラクエの名を借りた山崎貴劇場にお金を払ってしまった自分が悔しくなるレベルでした。
なので、ドラゴンクエストユアストーリーがなぜ駄作になってしまったのか考察していきます。(※ドラクエ好きによる山崎貴監督への愚痴ですのでご了承下さい)
考察 なぜドラクエファンを怒らせたのか
王道のドラクエに変化球はいらない
ドラクエファンで無くとも誰もが嘘だろと思うラストシーン。悪い意味で映画史の中に刻まれる事となりました。
山崎貴監督は三丁目の夕日やドラえもんのように普通に泣ける映画を作れるのに、全てをぶち壊すあのとってつけたようなラストにしたのか謎です。よりによってあれをドラクエでやってしまったのか。
例えるならヒーローショーの途中で急にマスクを脱いで中のおっさんが「冷静になれよ」と客に言うのと同じ。それは仕事放棄ですよ。
ドラクエの名を借りた以上はドラクエの物語として完結させるのが監督の仕事ではないでしょうか。
また、ドラクエファンというのは完成された様式美の世界を誰よりも大切にしている人間なんです。大事な所は変わらずに変わり続けるドラゴンクエストシリーズを愛しているんです。
個人的な意見ですが、ドラクエに変化球は要らないと思っています。
それは、スクエアエニックスも堀井雄二さんもよく分かってるはずです。
なのになぜこの映画にOKを出したのか疑問です。
山崎貴監督の暴挙を止める人はいなかったのか残念でなりません。
監督のドラクエ愛がない
ああ、この人ドラクエをやってないな?と分かるほどドラクエのリスペクトが微塵も感じらないのです。
腹ただしいのは細かいアイテムを大切にしない事です。
キラーパンサーはパパスの剣を持っておらず、ビアンカのリボンにいたっては登場すらしない。
山崎貴監督がドラクエ5をプレイしたのなら、ドラクエにおける細かいアイテムの重要性を分かってくれたはずです。しかし残念な事にこの映画では、それぞれのアイテムが持つドラマを全て無視しています。
そして音楽の使い方が雑!
映画における音楽とはとても重要な要素であります。ましてや、ドラクエにはすぎやまこういち先生が残した偉大な名曲が元々使われています。その曲は素晴らしいんですが、使い所が雑なんですよ!
なんか間が持たないからそれっぽい曲いれときゃいいだろ?的な選曲はいかがなものか。
顕著なのはドラクエファンにとって特別な曲である『序曲』の使い方ですよ。
『序曲』はOPか、本当の冒険はこれからのような意味合いでEDに流す、その王道パターンでよかったのに、今作ではやたらと『序曲』がかかります。ドラクエにとって『序曲』がどれほど重要な曲が制作陣は分かっているのでしょうか?軽々しく何回も使う曲ではないんですよ。
ドラクエ5を使った事
ユアストーリーの下敷きとなったドラクエ5。それは、ドラクエランキングの中で常に上位に入る人気ナンバリングであります。
そんなドラクエ5を使ってあの暴挙。それは、ファンからしたら、思い入れが強い作品に何してくれてんだ!と怒りたくもなりますよ。
親子3代に渡る壮大なドラマをたった2時間で収めようとすると、どうしてもダイジェスト気味になるのはファンだって目を瞑りますよ。
ドラクエ5をプレイした事がある人ならあのドラマを2時間では、到底収められないと分かっていますから。
しかしそれが許されるのは、ドラクエ5を忠実に映画化した場合です!
出来上がったものは肝心な物語をぶった斬り、山崎貴監督の陳腐なオリジナルストーリーを混ぜたもの。
言うなれば、一流シェフのフルコースをいざ食べようと思ったら、勝手に全部ジューサーにぶちこんで台無しにされたような腹立だしさ。さらには、そのドロドロの液体を「こっちのほうが健康にいいよ」とドヤ顔で勧めるてくるような、余計なお世話感。
その暴挙は皮肉にも「長い年月を経て神をも超えた」と調子に乗るミルドラースに似ています。
今作でのありがたいお言葉である「大人になれ」の意味がようやくわかりましたよ。
大人になって分かる事。それは、現実にもミルドラースのような奴がいるよという事だったのですね。
製作スタッフの炎上事件
ドラクエファンをさらに激怒させたのは製作スタッフによるとある一言。ドラクエユアストーリーのあまりの出来にTwitterでは公開されるやいなや非難轟々の嵐となっていました。それを見ていたスタッフは信じられない事を呟いたのです。
「ユアストーリー酷評してる奴らに『大人になれ』ってリプライする遊びやりてー
こういう人には山崎貴監督のうってつけな言葉を送ってあげましょう。「大人になれ」と。
本日の一コマ 吉田鋼太郎のゲマは最高
この映画では多くの俳優さんが声優に挑戦していましたが、その中でも吉田鋼太郎が演ずるゲマの迫力は頭一つ飛びぬけていました。
俳優さんが声優業をやると何とも言えない結果になる事が多々ありますが、吉田鋼太郎の吹き替えは吉田鋼太郎と気づかない程にめちゃくちゃ上手い。
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