今回は巨匠黒澤明のカラー作品『どですかでん』でございます。
初めて描くカラー作品が、煌びやかなネオンの町でも、迫力満点のお城でもなく、ゴミに囲まれた町というチョイス。
さすがは巨匠です。
カラーという事を活かした極彩色の世界で展開する群像劇。芸術的なセットも相まって、映画でありながらどこか演劇のようでもあります。
どですかでん 基本情報

1970年公開 監督 黒澤明原作 原作山本周五郎『季節のない街』 音楽 武満徹
主なキャスト
- 六ちゃん⇒頭師佳孝
- おくにさん⇒菅井きん
- 沢上良太郎⇒三波伸介
- 沢上みさお⇒楠侑子
- 乞食の父親⇒三谷昇
- 乞食の子供⇒川瀬裕之
- 島悠吉⇒伴淳三郎
- ワイフ⇒丹下キヨ子
あらすじ
物語の舞台は、郊外の貧しい人々が暮らしている町。そこに住む六ちゃんは他人の目に見えない路面電車を運転する事が日課でした。
六ちゃんが駆け巡るゴミ山に囲まれた町に住む人々はなんとも変わった人たちばかり。スワッピング、近親相姦、ネグレクト等なんでも有り。
そんな人々を気にせず、相変わらず六ちゃんの電車は朝から晩まで走り続けるのでした。
考察 どですかでんは何を伝えたかったのか?

雰囲気があって顔が良かったら、陰気な事すらプラスに作用するのです。
今作に登場する人は、現代人からすると劣悪な環境で暮らしています。ですが、彼らの暮らしぶりには不思議と暗さは感じられません。
それは、街の人々が未来を考える暇もなく、ただ今を必死に生きているからでしょう。だからといって彼らが明るく今を生きているわけではありません。
なにかしら人間の業のようなものを背負って彼らは、もがき生きているのです。
特に業が深いエピソードとしては二つ挙げられます。
変に頭が良く、プライドが邪魔したせいで息子を死なせたホームレスの親子の話。もうひとつは、働かず酒ばかりのんでいる夫が姪を胎ましてしまう話です。
果たしてこの2人を見ても、明るく生きてると言えるでしょうか。
間違っても『どですかでん』で黒澤明監督が描きたかったのは明るく生きる人々ではないのです。
黒澤明監督は弱い人間の姿を映し出す事で、あらゆるしがらみを超えた先の、本能的に生きようとする人間の美しさを描こうとしたのではないでしょうか。
感想 ちゃんとしてる人もいる

やばい大人しかいないカオスな世界に住まう神さま。それは沢上良太郎です。
彼は浮気症の妻を持ち、その妻に四六時中小言を言われながらもブラシを作り続ける。いろんな男と関係を持つ妻が産んだ子供が自分の子供ではないとしても気にしない、愛に溢れた人。
たんばさんと同じぐらいまともな大人。三波伸介さんの味のある演技も最高です。
本日の一コマ 粋なたんばさん

世の中の酸いも甘いも経験してきたのでしょうか、飄々として、いざという時は頼りになるおじいちゃん。そのカッコ良さったら!
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